ブックタイトルvol.133

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概要

vol.133

滑らかでコシのある汲み上げ湯葉は、ステンレスの船に木枠をセットして、ことこと湯煎。「京都の老舗もみんな、このつくり方。蒸気はムダがないけれど、火力が強すぎて、豆乳が変質してしまう」と戸谷さん(左)。13 241「. 油揚げは豆乳とにがりの撹拌回数を多くして、豆腐よりきめの細かい仕上げに」とベテランの職人さん。 2.煮〆専用「こも豆腐」は飛騨の伝統食材。明治時代、戸谷豆腐店が初めて商品化したそうです。 3.木綿、絹ごし、こも豆腐、油揚げなど、従来の商品に加え、パックから出してすぐに食べられる味付けバージョンや、日持ちのする真空パック包装など、食べる人を思う工夫に豆腐愛があふれます。4.菜種油100 %の油で揚げる田舎揚げは、油抜きしなくてもOK。江戸時代には越中富山の薬売りが行き交い、塩やブリなど様々な物資が運ばれた飛騨街道 萩原宿。かつては経済の動脈として賑わい、時代を経た今もなお、生き生きとした生活文化が息づく通りに、料理長が惚れ込んだ老舗が軒を連ねます。その一つ、戸谷豆腐店の創業は明治23(1890)年。4代目・戸谷成樹さん率いる店は、まだ夜も明けきらない午前2時半から作業を開始。立ちこめる湯気が未明の手仕事を労うなか、昔ながらの豆腐や油揚げをはじめ、旅館や料亭のオーダーでつくる湯葉や、銀杏入りなど季節替わりの豆腐づくりに勤しみます。料理長がオーダーするのは、コシが強めの汲み上げ湯葉。「朝つくられた湯葉が、昼いちばんに私たちの手元に届きます。これを一定時間寝かせると、いい塩梅に締まってきて、絶妙な歯応えと口溶けになるんです」と料理長は太鼓判を。ホテルオリジナルのほうれん草豆腐も、戸谷さんとのコラボから生まれたそう。素材は大豆と水。シンプルゆえにごまかしのきかない逸品の味の決め手は、井戸から汲み上げる御前山の伏流水。「この街道に暖簾を掲げる酒蔵や味噌の醸造蔵と同様、うちも創業以来、御前山の伏流水の恵みを受けています」と戸谷さん。雑味のない、優しい美味しさに満ちた一皿は、舌の記憶に鮮やかに残ります。老舗こだわりの滋味豆腐は、御前山の伏流水の恵みから戸谷豆腐店0576-52-1175 岐阜県下呂市萩原町萩原1318 7:00~15:00 水・日曜下呂温泉20(36