ブックタイトルvol.134

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概要

vol.134

伝統のJAPANに魅せられ、美しい日常を夢見る蒔絵師・吉田華正さんの手から生まれる、漆の抹茶椀。掌に載せると、見た目の重厚さに反して、ふわりと軽く、仄かな温かさ、柔らかさが伝わってきて、さらに口当たりの優しさに驚かされます。「ここ山中温泉に漆が伝わったのは、安土桃山時代。以来、山中塗りの産地として栄え、蒔絵師の長男に生まれた私は、お茶道具一筋に60年の歳月を重ねてきました」。その昔はほの暗い灯りの中で目を凝らし、嗜まれたお茶の世界。そこに浮かび上がる漆黒の美、加飾の華に、時空を超えて触れてみたい気がします。「美味しいお茶やプチフールに目がなかったマリー・アントワネットは、日本の漆器をジャパンと呼び、こよなく愛したそうですね」と岡部さん。最近、華正ワールドに現代版印いんろう籠とも呼ばれる福ふくろう籠など、お洒落で粋な小品がお目見えするようになりました。「今を生きる人が使いたくなるモノをつくってこそ、伝統は受け継がれると思う」と華正さん。精緻を極めた幸せの小箱に心奪われた岡部さん、大切な人への贈り物に福籠を選びました。もちろん、迷い、手に取り、その温もりを確かめて。その先に贈られた人の喜びが見えるようです。5346 71「. ごめんなさい。お部屋に通されるまで10年前に来たことを忘れていて」と岡部さん。「白山がこんなきれいに見えるのは珍しいんですよ」と三木さんからのひと言が空気を緩ませて。2「. 視界を遮るものがない風景は、旅先ならでは」とほっこり。3.モダンなフリーカップはいつものお茶の時間に映えそう。4.蒔絵が施された抹茶椀。使い込んで縁がはげてくると、その味わいは一層、深まるそう。5「. 美しい地球を後生にという思いを込めて、水指に地球儀の蒔絵を施すなど新しい挑戦を」と華正さん。6.2寸4分の小宇宙に伝統の粋が息づく棗(なつめ)。7.酒器やお茶椀などもこんなに綺麗。漆芸 よした華正工房0761-78-0738 石川県加賀市山中温泉長谷田町口360http://www.kasyoustudio.co.jp5