ブックタイトルvol.134

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概要

vol.134

DiamondSocietyPresents光と風を感じる美術館で、絢爛豪華な九谷焼の世界に遊ぶ公園を散策しながらたどり着いた館は、自然の中に溶け合う庭園ミュージアム。「周りに馴染むよう、赤瓦や石床など多くの部材は南加賀旧家のものを生かして。柱はベンガラ入りの漆塗り、漆喰壁は左官職人のコテの手仕事を残して」と副館長の中矢進一さん。加賀の匠の手業が随所に残る美術館は、昔からここにあったような佇まいです。およそ360年の歴史を持つ九谷焼は、大胆な構図と、赤・緑・紫・紺青・黄の鮮やかな色絵で絵付けされた色絵磁器です。中でも、前田家のために焼かれた古九谷は、一品主義。クラフトではなくアートの領域で、今も作家の数だけ個性を誇ります。ひとつ、ひとつに目を見張る岡部さん、「ここは九谷焼の絵皿の住まいのよう。文化の大スポンサーだった前田のお殿様はちょうど、イタリアのメディチ家のような存在だったのでしょうね」。繊細、かつダイナミック。皿をキャンパスに、狩野派や琳派の絵師が腕をふるったというそれらは、圧巻のライブ感を携えて、見る人の心を鷲づかみにします。山中町出身の道場六三郎さんは「料理人たるもの、九谷焼の器にうまく盛って一人前」と言ったそう。驚きもご馳走の一部ということですね。32 1465石川県九谷焼美術館0761-72-7466 石川県加賀市大聖寺地方町1-10-13 9:00~17:00(入館は16:30まで) 月曜(祝日は開館) 入館料/一般500円、高校生以下無料茶房古九谷・ミュージアムショップ0761-72-6366 9:30~17:301.美術館は中央図書館に隣接した「古九谷の杜親水公園」内にある。2.和モダンな空気が漂う「茶房古九谷」は2階に。建築家・富田玲子さんが設計した公園が窓ごしに見え、一幅の絵画のよう。3.お点前のように丁寧に淹れられたお茶&お菓子が、ミュージアムの余韻を深めてくれる。4.1200℃から1300℃の高温で焼き上げられた作品は、江戸時代の人と同じように自然光で楽しむことができる。5.ユーモアたっぷりの中矢さんの九谷焼語りに、岡部さんの質問も尽きない。6.絵がいのちの作品は迷いがなく、器に留まらない広がりがある。6