ブックタイトルvol.135

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概要

vol.135

 海岸に近い丘陵地に位置する加賀市橋立町は、「加賀橋立船主集落」として国の重要伝統的建造物群保存地区に選定されています。江戸後期から明治時代にかけて、「北前船」の船主や船員たちが居を構えた集落で「日本一の富豪村」と呼ばれていました。船主は信用のおける仲間と共に、ここから大阪まで歩いて向かい、停泊させていた船で日本海を通って大阪・北海道間を往復しながら積荷を売買。寄港地に各地の物資と文化を届けながら巨万の富を築いたのです。 活気に満ちた往時の区割りを留める町並は、入り組んだ谷間の地形に沿って構成され、通りによって多彩な表情を見せてくれます。宅地を造成するために福井県・足羽山の笏谷石を積み上げた石垣、船板で覆われた主屋に蔵、富の象徴ともいうべき赤瓦の屋根……。現在、「北前船の里資料館」として公開されている旧酒谷長兵衛邸をはじめ、茅葺き農家から進化した「北前船主型」の家屋は、豪勢ですが武家屋敷のような派手さはありません。雲がたれ込め、潮風が吹き付ける北陸の地で、いわゆる漁師町とは異なる趣を湛える、静かな〝海の男?のふる里なのです。北前船文化に出会う加 賀市橋立町には、かつて「北前船」で活躍した船主たちの屋敷が残されています。廻船業で栄えた集落の様子や人々の暮らしぶりが垣間みえる静かな路地を散策してみませんか。加賀橋立船主集落0761-72-7888(加賀市教育委員会文化財保護課)住 石川県加賀市橋立町命がけで荒波に乗り出し、富を築いた北前船主の町もともと橋立には港がなく、集落は農村を原型としています。江戸時代から人々が行き交う路地を歩くと、長く続く船板を再利用した塀。船主住宅は、その敷地が広くなるほど、通りに面した門から奥に入った場所に主屋が建てられているのが特徴です。天保年間に建設されたと伝わる橋立最古の船主邸「忠谷家住宅」(国指定重要文化財)。現在も一般住宅であり、イベント時のみ内部が公開されます。茅葺が主流の時代に贅沢な赤瓦を採用。1.バラストとして北前船に積まれていた笏谷石を、石垣に再利用したと伝わります。2.5月4日(水・祝)「加賀橋立 北前船の里まつり」。賑やかな催し満載で資料館の入館も無料に。通常非公開の船主屋敷を見学できます。2 1Katayamazu片山津編32